研究会第4回HINDOWS文学研究会「戦争と文学」

日時       2024年11月16日
Rezai Baghbidi Hassan “A New Look at Ādāb al-Ḥarb wa al-Shajāʿa: A Persian Treatise on the Rules of War Dedicated to the Sultan of Delhi Iltutmish”

成果

第4回HINDOWS文学研究会はオンラインで開催され、発表者を含め5名の参加者があった。発表者のRezai Baghbidiは、13世紀初頭にラホールまたはデリーで書かれたペルシア語の論文『ādāb al-ḥarb wa al-shajāʿa(戦争と勇敢さの規則)』の内容を概観した。この本はFakhr al-Dīn Muḥammad ibn Manṣūrによって書かれ、デリーのスルタン、Īltutmish(在位:西暦1211年~1236年)に献上された。『ādāb al-ḥarb wa al-shajāʿa』の最古かつ最も正確な写本は大英博物館に保管されており(Add. 16853)、序文と34章から構成されている。さらに6章を加えた完全版は大英図書館(MS 647)に所蔵されており、タイトルは『ādāb al-mulūk wa kifāyat al-mamlūk』(王たちの掟と臣民の幸福)である。『ādāb al-ḥarb wa al-shajāʿa』の最初の6章と、『ādāb al-mulūk wa kifāyat al-mamlūk』に含まれる追加の6章すべては、王が備えるべき資質と、有能な役人の任命における王の責任に捧げられている。この本のその後の28章では、戦争に関する幅広いテーマを系統的かつ包括的に取り上げており、中世インドの軍事体制に関する貴重な情報源となっている。

イベントレクチャーコンサート「インドの細密画と宮廷音楽」(後援)

日時       2024年11月4日
 
拠点メンバーの北田信が、北インド古典音楽の背景となるインド古典美学について解説し、古典音楽のラーガ(旋法)をビジュアルに描いた中世ムガル・デカン・ラジャスターンの細密画を見せて図像学的な分析を行った。
また、秋の夜と出家者の澄んだ心境を表現したラーガ・ケーダールの図像化絵画を見せるだけでなく、実際にインド伝統楽器により演奏して、聴衆に聴いてもらった。

講演会音楽の神殿 北インド古典音楽ライブ 弦楽器サロードと打楽器タブラ(後援)

日時       2024年4月27日
拠点メンバー(北田信)が北インド古典音楽について講演と解説を行った。

研究会FROM KONKAN TO COROMANDEL: Cultures and Societies of the Deccan World(後援)

日時       2024年4月19日
拠点メンバー(北田信)が“Translating Dakani Poetry and Nusrati’s Rose Garden of Love”というタイトルで発表を行った。

イベント「北インド古典音楽×インドの詩×ベンガル料理」(共催)

日時
2024年1月19日

成果

拠点メンバー(北田信)が講演と演奏を行った。中世ベンガル・ミティラーの二人の代表的詩人とみなされるチャンディーダースとヴィディヤーパティの作品を原語(ベンガル語・ミティラー語)で朗誦し、内容を解説した。ベンガルで行われる北インド古典音楽が、インド東部の民謡や宗教歌に裏打ちされたものであることを実演を通じて示した。

国際学会INDOWS International Symposium “Currents of Metamorphosis across the Indian Ocean”

日時
2023年12月9日(土)~10日(日)
場所
大阪大学箕面キャンパス4階中講義室

成果

2日間にわたり、4つのセッションを設け、合計13名が研究発表を行った。発表者の内、海外から参加したのは6名であり、国籍はインド、ドイツ、ナイジェリア、パキスタン、フランス、米国であった。環インド洋地域の言語、文学、文化、思想の連続性と断絶性に関し、最新の研究成果が発表され、活発な議論が繰り広げられた。2日間でのべ50名以上が議論に参加し、盛況な会となった。本シンポジウムの成果は、査読を経たのち、論文集として2024年度中に大阪大学学術情報庫OUKAにて出版される予定である。

国際学会講演会Islamization in Southeast Asia as reflected in literature, archival documents and oral stories(共催)

日時      2023年11月3~5日

成果

3日間にわたり、東南アジアのイスラーム化(島嶼部および大陸部)に関する国際シンポジウムおよび文化公演(ワヤン及び北インド音楽演奏)を行った。AA研共同利用・共同研究課題、科研、環インド洋地域研究阪大拠点共催。ジャワ及びマレー世界の文献学者が数多く来日した。HINDOWSは二名の研究者の招聘費用と文化公演の謝金、会場費を負担した。

イベント「インドの芸術と音楽」

日時
2023年9月30日(土)

箕面市立船場図書館拠点研究員の北田信が、インド(南アジア地域)の詩と音楽についての解説と鑑賞、およびインドの伝統弦楽器サロードによる古典曲の実演を行った。

研究会第3回HINDOWS文学研究会「戦争と文学」

日時
2023年6月17日

井坂理穂「「シャヒード」の物語―アフマダーバード市の記念碑を手がかりに―」
松木園久子「アルナーチャル・プラデーシュ州をめぐる幾重もの「戦い」―Mamang Daiの”Escaping the Land”を読む―」

成果

オンラインで開催された第3回HINDOWS文学研究会では、「文学と戦争」をテーマにHINDOWSメンバーの井坂理穂と松木園久子が発表を担当した。HINDOWSのメンバー合計10名の参加があった。井坂理穂は、martyr(殉教者)を意味する「シャヒード」ということばが、1940年代、1950年代のインド西部・グジャラートにおいて、独立運動、コミュナル暴動、グジャラート州創設運動のなかで命を落とした特定の人々を表すために用いられ、それらの「シャヒード」の物語が様々な立場から語られる様子を検討した。また、「シャヒード」のための記念碑・記念館設立をめぐる議論や、それぞれの物語が時代を経るなかでいかに再構築されていったのかを考察しながら、複数の「シャヒード」のイメージが重なり合いつつ展開していくありさまや、それらが政治勢力によって象徴的な役割を与えられていく過程を明らかにした。松木園久子は、インド北西部のアルナーチャル・プラデーシュ州出身の英語作家Mamang Dai(1957-)の2021年の小説Escaping the Landにおいて、地元のトライブ同士の争い、そしてイギリス植民地政府と、その後のインド中央政府による介入、さらには中国の侵攻といった幾重もの戦いが複雑に展開される様子を紹介した。また、本作では、地元の政治家や役人の視点を中心に、不安や不可解さを煽る表現を多用することによって、地元民が争いを実際にどのように経験したのかが表現されていることを指摘した。

講演会リチャード・ウィリアムズ博士講演会(共催)

日時
2023年4月5日

成果

SOASのリチャード・ウィリアムズ博士に“Performance, Poetry, and Painting: towards a history of music under the Deccan Sultanates”と題し講演をいただいた。初期のウルドゥー語(ダカニー語)による美文学作品のテキスト分析と同時期に描かれた細密画の図像学的分析を組み合わせて、17世紀前後のデカンにおける音楽文化および音楽実践の様子を明らかにした。

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